東京から地方へUターン移住してネットビジネスを始めた友人

 東京から友人が故郷へUターン移住してきました。彼は東京の大企業に務めていたいというのに、その職を辞して、生まれ故郷でネットビジネスを始めるというのです。なんてもったいない。私はそう思わずにはいられませんでした。

 しかし、彼には勝算があるようでした。既に数年前から副業としてネットビジネスをやっていたらしく、ノウハウは分かっているとのこと。昨年からは本業に迫るほどの利益も出していたそうです。そこで彼はよりネットビジネスに集中するために、本業をやめ、故郷に帰ってきたというわけです。

 とはいえ、こんな田舎に住んでいてビジネスが成立するのでしょうか?東京に住みつづけていたほうがビジネスするには便利だったのではないでしょうか?商談などのたびに東京に行くのは、かえって不合理な気がします。しかし、彼によると、ネットビジネスだからこそ、住む場所を選ばないということです。ネット回線が通ってさえいれば、世界中のどこででも仕事はできるのだそうです。商談なんてテレビ電話を使えばいいだけです。実際、世の中には世界中を旅しながらネットでビジネスをしている人もいるらしく、それに比べれば、日本の地方に引っ込むなんてまだまだ気楽なものだと彼は笑います。東京なんて人が多すぎて、むしろビジネスに集中できないくらいさ。そんなふうに言うのです。

 そうして彼はたった一人の会社を立ち上げて、この日本の片田舎でネットビジネスを開始しました。村のみんなは心配していましたが、事業は順調に展開しているようで、今後はさらなる事業拡大を目論んでいるようです。そうなると人出が欲しくなってきたようで、「お前も農業なんてやめて、俺のビジネスを手伝わないか?」、そんなふうに私も彼から仕事の誘いを受けています。折しも、日本のTPPへの参加が決まって、農業の先行きに不安を感じずにはいられなかった頃です。彼のリクルートは魅力的な提案でした。とりあえずは、冬になって農業が暇になったら、彼の会社でアルバイトとして働くつもりです。そうして、見込みがありそうなら、将来的には私もネットでのビジネスに専念したいと思っています。